真冬の光  第三部 護り願うもの 4章-4
真冬の光 目次 第四部
 
第三部 護り願うもの
断章

 
 レンディアの冬の日々――。
 それは小王国が何百年もつないできた山の民の生き方そのものだ。
 雪風のもとに身を寄せ合い、不平を言わず、
 ある日はただ黙々と働き、ある日はささやかな笑いの種を見つけて喜ぶ。
 風の強い晩にはそれを忘れようとするかのように、親、祖父母から習った歌を子どもたちが歌った。
 また、ある晩は炉辺を囲んで茶を飲む。
 そして、炎が揺れるたびにぽつぽつと問いを投げかけてみるのだ。

 ――われわれは、何故ここにいるのか。何処へ行くのか。

 過去のこと、未来のこと。
 もっともらしい答えが返ることもあれば、笑って、熾きに投げ込まれてしまうこともある。

 ただただ、こうして繰り返し繰り返し、日を重ねて春を待つのだ。






 

4章-4
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