1へ 読書記録 → 3へ

実用書 2

  

「買ってはいけない着物と着物まわり」 実業之日本社
きくちいま 著

  きくちいまが伝えたい! 買ってはいけない着物と着物まわり


 その着物、買ってもほんとに大丈夫? 着物選びの本当を知ってもらうために「買ってはいけない」実例をあげ、着物専門誌が書かない素朴な疑問に、きくちいまが本音で答える着物業界のタブーに挑戦した本。

 読み始めてすぐに「攻めてますね〜」と感嘆しました。
 他の著書ではほんわりしたイラストで楽しい着物ライフを語っておられますが、その裏にはこの苦労! この失敗! この本では着物業界に警鐘を鳴らしています。

 街の呉服屋さんでよく見かける売りつけんかなのごり押しトークは、まさに着物初心者がもっとも恐れているもの(笑)。それが初心者だけでなく、ある程度の知識がある人ですらひっかかることがあると知って驚きでした。もちろんいいお店もあるらしいですけどね。
 私がかつて働いていた繊維業界の悪しき慣例の根っこは着物業界にあったのかも、とも感じました。詐欺とまではいかずとも、買い手不在、顧客不在の商品開発になりがちな空気というか。多分、ビジネスモデルが、営業手法が同じなのだと思います。
 そして、日常ファッションですらいまや売れ行きはさっぱりですから、まして着物の将来は――。なかなか気が重いです。

 閑話休題。
 私がありがたいなあ、と思った情報は「見えないおしゃれはいくらで収めるか」。そこですよねえ(笑)

肌襦袢がなければ、スリップ着たらいいべ。
要は衿から見えなきゃいいんだべ?
帯板がないなら、牛乳パックで作ったらいいべ。
補整はタオルと腹巻でじゅうぶんだべ。
腰ひもがないなら、荷造りの紐だって間に合うべ。



 でも、見えないおしゃれの長襦袢にはこだわりが書かれてて、手抜き(?)するところ、こだわりどころは切り分けてるんだろうなあ。

 そして、ちょっと着物屋さんに立ち寄っただけですぐにセールストークされてしまう訪問着と付下げの違い。
小袖の流れをくむ訪問着と、小紋から発生した付下げ――なるほど。これまで生地を作る技法の違いとしか認識していなかったので、格が違う意味がわかりました。
 他に体格別に着付けのちょっとしたコツを紹介したページも嬉しい。

 密林のレビューを見ると、けっこう賛否両論なんですね。私のように「はっきり言ってくれて嬉しい」という人と「読むと気分が良くない」という人も。
 でも、着物業界へ配慮した言葉遣いをされてるな、と思いましたよ。何よりも、掲載されている着物を見れば業界の(すべてではなく)どこを批判しているのか明快。著者が職人さんを応援しつつ着物ライフを楽しんでいることもわかります。ここまで書けるほど着物を着ている人が少ない、という現実が少し寂しいくらい。

 私は最初から普段着以上の着物を着るつもりは皆無なので、業界のこのあたり(汗)の空気を感じつつ勉強させていただきました。
(2020.8.13)

 

「毎日の着物」 アスペクト
きくちいま 著

  毎日の着物―日々の着まわしコーディネート帖


 一枚の着物が何通りにも楽しめる!着物をもっと活躍させるための着まわし、着こなし術をお見せします。着物初心者の案内役を務めてきたきくち いまさんが、手持ちの着物を活躍させるためのコーディネート術を紹介するエッセイ。

「日々の着まわしコーディネート帖」というサブタイトル。11枚の着物が帯や小物でどう変わるか、どんなシーンに生きてくるかが実感できます。箪笥の中身を全部畳の上にならべて、さあ、どれを着ようか、と考える姿が目に浮かぶ楽しい本でした。

 日々のエピソードを描いた文章はおしゃれなファッション雑誌のようで、私にはちょっと現実味はありませんが。でも、これがないと現代生活の中で着物を着る感覚が尚更わからないので、やっぱり読めてありがたい。

 素敵だなと思ったコーディネートは、濃茶やグレーの無地に見える着物に遊び心のある絵柄の帯。あと、白地に細いストライプの着物にこっくり濃色の帯。柄物の半襟もいいです。
 帯締めや帯揚げといった小物が全体の印象に影響しているのが面白いですね。

 もし、私が着回しを考えるほどの枚数の着物を手に入れることがあったら、また読んでみたい本でした。
(2020.8.8)

 

「着物でわくわく12カ月」 リヨン社
きくちいま 著

  着物でわくわく12カ月


 難しいこと一切抜き!365日着物で暮らす著者が、季節を感じるふだん着物の楽しみ方を、ほんわか可愛いイラストと、素敵なコーディネート&和小物の写真を交えて綴ります。紅葉狩りやクリスマスなど、着物ならではの季節の行事の楽しみ方。寒さ対策やお洗濯など着物との上手な付き合い方。花柄、水玉、コットンなど柄や素材の話から、手ぬぐい、煮梅レシピまで。ココロ華やぐ着物歳時記。

 まさしく着物歳時記、でした。季節にあわせたコーディネートはどれもすぐに着たくなるものばかり。普段着として着物を着ている人ならではの現実的な選択眼が魅力的だと思います。

 なにより私好み(^^)。無地や無地感覚の濃色の着物にきれいな色の帯や小物――洋服のコーディネートとかけ離れていない感覚が着物初心者向きなんだろうな、と思ってます。
 ウサギやホタル柄の半衿、オセロのようなドットの帯など遊び心のある小物の登場も楽しかった。(さすがに握り寿司柄の帯はベーシック好みの私は手が出ませんが)

 覚えておきたい自分用メモ。おはしょりを作って紐を結んだ時に、身の脇から中が見えるのは格好がよろしくないらしい。です。
 そして、中濃色サンドグレーのチェックは帯によって春〜夏にも秋にも着られそう。着回しのきく色を選ぶ時の参考にします。
(2021.1.16)

 

「きくちいま流 着物生活48のワザ」 実業之日本社
きくちいま 著

  きくちいま流 着物生活48のワザ 楽しく、正しく、美しく!


 ふだん着物のカリスマ・きくちいまさんと全国の着物愛好家で考えた知恵とワザ!!大人気ホームページ「いまっぺーじ」に集まった着物ラブわたしたちの着物・新ルールはコレ。

 著者ホームページに寄せられた着物好きさんたちの疑問や知恵を共有した本。いろんな意見の並列なので読み方に気をつける必要はありますが、「そんなワザがあるのか!」という口コミに出会えるのが楽しい。むしろ、メインに読み取るべきはこちらだなあ、と思います。

 私は冠婚葬祭用やあらたまった着物には興味がないので、前半はさらっとスルー(ごめんなさいね)。
 普段着着物や着付けのコツに注目して読んだところ、目下の疑問点である「足元問題」「寒さ対策」「襟」にあらたな知恵が!

 以下、覚書を兼ねているので、長くてすみません。

 足元問題……草履も下駄も、サンダルさえ履かないので一大懸案だったのです。
 下駄や草履の鼻緒ずれ防止に、最初からバンドエイドを貼っておく、とはいいですね。タビックスは寒さ対策にもなりそうです。

 そして、本丸の寒さ対策。
 無類の寒がりを励ましてくれる、スパッツOK、アームウォーマーOK。バレエ用品のタイツも着方を工夫すれば心強いことがわかりました。ただし、素材同士の滑りは要注意だそうで。綿スパッツと綿着物なら、間に滑りのいい裾除けをつければいいのかな。

 あと、そもそもタートルネックを中に着るとか。思えば、「俺の家の話」の寿限無くんもタートル着てたなあ。思いきってタートルを着て襟をぴしっと整えて、背筋を伸ばせばいけるんだな、と想像してます。男物は身八ツ口がないので暖かいというのは意外な方向でした。ただ、これは小柄な女性には無理かもしれませんね。

 着付けについては、目からウロコぼろぼろの意見が多かったです。ありがたい。
 腰紐をウエストでしめるか腰骨でしめるか、は好みで分かれてる様子。そして、好みの位置が決まったら、目印の糸をつけておくというナイスアイデア。
 衣紋も普段着なら抜かなくてもいいらしいし、ご意見の中には「衣紋を抜く前提で作られている着物とそうでないものがある」という方も。襟については、着付けの先生でもカレンダーを折りたたんで衿芯にする、とは思わなかった。来月、さっそく試してみようかな(笑)
 障子紙や半紙ということもあるのですね。そうだ、そもそも昔の日本にはプラスチックの衿芯なんて無かったんだ。

 いずれにしろ、襟もとは襦袢で決まる、と。いまさんのコメントでは、


 襦袢を着たら空気を抜くようにするといいと教えてもらったことが。襦袢のシワが、結局きものの着崩れにつながるんですね。
 襦袢で衣紋のかたちを決めてしまいます。きものは、襦袢に沿って軽く羽織るように着るだけです。


 他にも、超幅広の伸びる包帯(15cm幅くらい)をタオルに縫い付けて補正下着を兼ねる、という案も。
 本当にいろんな知恵を共有してもらえて、感謝、感謝です。
(2021.5.3)

 

「かんたん可愛い もめんの着物」 二見書房
君野倫子 著

  かんたん可愛い もめんの着物 ~コーディネートとお出かけ案内~


 ワンピースみたいに、気軽でおしゃれで気持ちいい。もめんの着物でお出かけしよう! コーディネート35点、着物で行きたいおすすめスポット111ヵ所。

 コットンの洋服を着るように着物を着るなら、と木綿の着物に特化した1冊。着物だけでなく、帯どめ、半襟、足袋、バッグなどの小物、さらには『着物を着て行きたい東京のお散歩コース』の紹介もあって楽しかったです。
 私が着たい着物はまさにこれですね。普段着(それを着て外出はするつもりだけど)で、洋服とはちょっと違う可愛らしさと落ち着き。いいなあ。

 絹の着物とは少し違う色や柄の組み合わせもいいです。特に木綿に多いチェック柄は、私は洋服ではあまり着ないので勉強になりました。
 帯は着物と同系色か、同色が入ってると落ち着くらしい。柄&柄という着物ならではの組み合わせは彩度や柄の大きさのバランスをとるといい……ような気がします。

 気に入ったのは、渋色の細かいチェックに薄青か象牙色の帯、そこにアクアブルーの帯締めがすてきでした。

 巻末には「木綿の着物を買える店」というリストがあります。こんなに少ないのね、と少し悲しくなりましたが。気長に勉強して、いつか買いにいってみたいです。
(2020.8.31)

 

「平成 着物読本」 河出書房新社
君野倫子 著

 小さなコツ、役立つヒント、ほっとする話など、着物好きならではの235話を集めました。図解でわかる「あんな失敗、こんな赤面&原因と対処法」つき。

 平成が終わったから、というわけでもないでしょうが、密林に掲載がなかったので書影なしです。

 普段着としての着物がたくさん載っていて、この人の着物選びはとても好み。縞とか格子はいいですよね。
 そして、「よくこう言われるけれど、私はこうする」という感じで、一般的な着付けと著者の好みやこだわりとの区切りを明確にした説明が多くてよかったです。具体的には、体型とお太鼓のバランスのとり方、補正の方法など。着物常識と言われている事柄の理由や目的がきちんと言葉にされているので、それを守るもよし、はずすもよしの塩梅が想像できるのです。

 ところで、どの本やサイトを見ても着物の「補正」と書かれているのですが、体型を着物向きにする意味を考えると、どうして補整ではないのかしらと不思議に思ってます。

 閑話休題。着物に合う髪型、メガネは? 履物やバッグは? コートは?……と、いくらでも出てくる疑問の答えが書かれていて嬉しい。ポンチョ型のコートは便利そうですね。
 あと、お手入れについてもしっかり書かれてます。家で洗える木綿やポリエステルでも、スラックス用ネットに入れてからの方がよさそう。そのまま、洗濯機にぽーんと入れてしまうところだった。。。

 「あんな失敗〜」も、対処法だけでなく、何故そうなってしまったのかがわかるのがいいです。
 今、しょっちゅうやらかしてしまうのが、「伊達締めが見えちゃってますよ」と「背中がしわしわですよ」。原因は伊達締めが高いか、帯の締め方が足りないか、補正不足で帯が下がる。そして、腕の上げ下げが大きいためにしわが寄ると。着付けの間にしわになっているというのも納得の理由でした。

 慣れてきたら「吉弥結び」という帯にも挑戦してみたいな。千代紙のあねさま人形のような見た目の結びですが、甘すぎず、すっきりした印象で私好みでした。
(2020.10.20)

 

「デニム着物の本」 河出書房新社
着物屋くるり 著

  デニム着物の本---はじめよう!ふだん着物ライフ


 着心地バツグン、手入れがラク、そして、コーディネートが簡単でかっこいい!着物ファンの間で話題の「デニム着物」。その魅力を一冊にまとめました。

 身近な着物を愛する人たちの間で人気の「くるり」さんの本。かくいう私も、まだ手は届かないけれど、いつかここで風通しのいいお買い物をしたい(笑)と憧れるお店です。

 デニム着物を業界初でつくったお店の自負を感じる一冊。発案から7年――紆余曲折、七転び八起きの改良の過程を読むと思わず応援したくなりました。いや、私も糸偏業界の端っこにいるので、この苦労はよくわかる。厚みとか重さとか。。。「普段着としてかっこよく着物を着たい」という信念を貫く姿勢に賛辞を送りたいです。

 さて、デニムは気軽に洗濯できるのが最大のメリットで、これは初心者にはありがたい。ただ、着こなし写真を見れば見るほど「初心者向けではない」と感じました。
 ともかく地味なので、帯でしか着回しできない。そして、帯を数本持ってるのは初心者ではない。少なくとも数枚の着物と帯を持っている人向けではないでしょうか。もちろん、着物1枚、帯1枚で満足なら話は別ですが。
 密林のレビューにもありますが、何故、半襟、足袋を白と決めてしまうのかなあ。私ならもっと変わった半襟で変化を楽しもうと思っているんですけど。

 そして、話はずれるのですが。
 かなり自由なイメージのあるくるりさんですら、業界の呪縛?と無関係ではないのね、と感じて面白かったです(すみません、業界を知ってるので気になるの)
 白の半襟も、デニム着物開発うら話の作り手暴走の改良も。着こなし写真があくまで正統派着物のバリエーションの提案になっていることも。
 やっぱり現代の着物屋さんなんだな。

 でも、こうやって「これまでの着物」「フォーマル着物」と「カジュアルな着物」「普段着の楽しみ」の境界線を無くすのではなく(これは大事と思う)、それを少しだけ動かしてみようとする気概が感じられて楽しかった。

 くるりさんは、もしかしたら私が着たい着物ではないかもしれません。それでも、やはり憧れの存在であることは変わりないとあらためて感じました。
(2020.9.13)

 

「アンティーク着物スタイルブック」 河出書房新社
大野らふ 著

  アンティーク着物スタイルブック


80年も昔のものとは思えないほどカワイイ。ただ子供っぽくなりそうで、コーディネートが難しい、何が自分に似合うかわからない。そんなおしゃれ着物女子に無敵コーデのヒミツ教えます。

 この前に読んだくるりさんの本が堅苦しく思えて、反動で柄×柄の独創的な着合わせが多いアンティーク着物の世界をのぞき見です。大胆、華やか、可愛いにあふれていて、これは逆に私には着られそうにないとわかりました(笑)。でも、楽しかった。

 アンティークの着物も、実は幅広いテイストがあるのだと書かれていて、はっとしました。
 大正半ば〜戦前の20年もの長い時期ということは、当時の20歳の娘さんから40代の奥様が着ていた着物なので、確かにこれを「アンティーク」のひとことで括ってしまうのは無理がある。そこで、アンティーク着物を柄域によってグループ分けして、好みの着物を探そうとおすすめされてます。

 私が買うなら、格子柄や縞のシンプルなものにユーモラスな柄帯を合わせてみたいかな。
 写真の中で特に気に入ったのは、ナチュラルカラーの地に絣で水玉をつけた着物と暖色系の更紗柄の帯の組合せ。あと、渋い紅色の無地紬に白地のチロリアンテープのような模様の帯。いいですねえ。ほどよく甘くて可愛いのですよ。

 また、アンティーク着物がリアルタイム(?)だった明治〜大正の文化についての章も面白かったです。
 当時の若い女性にとって女学校は「義務教育と結婚の間のモラトリアム」だったと。その短い時期に若さと夢を詰め込んだ文化が、文学趣味や文通であったり、袴や華やかな柄の着物、レースづかいなどの欧米趣味だったんですね。こういう時代に想像をめぐらせるのもアンティーク着物の楽しみなのだと知りました。

 巻末には読者Q&Aコーナーもあって、アンティーク着物ならではの悩み事相談や楽しみ方を教えてくれています。その中でびっくりしたのは、対丈の着方(おはしょりを作らない)。
 昔の人は身長が低いので短い着物が多く、現代の女性が着るとおはしょりを作れない場合もあるそう。おはしょりが無いと裾が広がりやすいので、コーリンベルトを使うというのですが。
 長い状態のベルトを長襦袢の上前につけ、後ろから回して着物の下前(膝より10cmくらい上)に留める。ベルトが膝裏に当たるけれど、これで風が強くても裾が広がらないらしい。

 ちょっと不便そうな気もしますが、裾は安心できそう。

 何冊か着物本を読んだだけでも、着物の種類の多さというか着物をめぐる背景の多様さがうかがわれて興味がわいてきます。本当に奥が深いなあ。泥沼らしいのですけどね(笑)
(2020.9.31)

 

「お気に入り着物十二カ月」 ピエ・ブックス
fussa 著

  お気に入り着物十二カ月―暮らしの歳時記


モダンなアンティーク着物や洋服感覚で着れる着物が増えていますが、着物の種類や柄、色選びなどを上手に組み合わせるポイントが分かるともっと着るのが楽しくなるはず。着物の柄や色って季節の植物や食べ物に由来していたり、半襟や足袋などはかわいい模様も沢山あります。若い女性に人気の着物スタイリストユニットfussa(フサ)が、季節に合わせた着物選び、そして小物や和裁の楽しみをご紹介します。

 はでやかなアンティーク着物を着こなした女性モデル、という、私の好みからすると少し若すぎる着物世界かと思ったのですが、取り上げられている「和の色」や「裁縫道具」など意外と渋くて地に足がついた感があり、落ち着いて読めました。

 特に「和の色」で語られている柿色やあずき色、わさび色をめぐる伝統文化の話は好きです。
 季節に敏感な着物コーディネートですが、きっとまったく怖がる必要がないのですよ。だって、日本の風景からどんなモチーフを着物に取り込むかと考えたら、さまざまな「正解」があるのだもの。そこが、着物の楽しみなのじゃないかと。。。

 気に入ったコーディネートは、桜鼠色の紬と更紗柄の帯の組合せ。更紗との組み合わせはいつか挑戦してみたい。
 それから、白地に小紋のさっぱりした着物&大きな花柄をプリントした大胆な帯。初夏に合いそうです。
 そして、度肝をぬかれたのはクリーム色の細縞の麻着物に、大胆に大きなアザミが描かれた帯の組合せ。ほぼ無地に見えるシンプルな麻にピーコックグリーンのまん丸な花ですよ。いさぎよいなあ。これは気を張らないと着られない。こういう着こなしができるようになりたいな。

(2020.11.15)

 

「着物コモノ」 メディアファクトリー
竹蔵龍 著

  着物コモノ


コモノひとつ足せば、おしゃれでカンタン、いつもの着物+コモノ、私流の着こなし発見!大人気ネットショップ「キモノコモノ竹蔵龍」オーナーによる、初めての“着物コモノ便利帖”

 基本を押さえつつの攻めた着こなしを見たくて手に取りました。実際、載っている着物姿はどれもスタスタと歩く足音が聞こえそうな粋な雰囲気。あ、着物でビールOKですか。やった!(笑)
 ドクロや蜘蛛モチーフは手が出せませんが(^^;)、上品さと大胆、生真面目な色合わせと遊び心のある柄――こんな相反するものが混在する着こなしはかなり好みです。(しかし、この本は絶版なのかしら。これは残念)

 一番面白かったのは、帯留めの存在感。
 私はまだ半幅帯しか試していないので、帯締めも帯留めも眼中になかったのですが。確かに、どの着こなしも帯留めの有る/無しで雰囲気が変わります。布ではない質感というところがミソなわけですね。

 また、色や素材の合わせ方にも目を引かれました。

 アイスブルーというかひんやりとしたグレーに、フェイクファーの帯。
 灰栗色の光沢のある無地に、枯葉色の帯。同系色の中でパールイヤリングを使った帯留めが光ってます。
 大胆な花柄の着物を短めに着て、下にブーツ。革の強さに負けない柄が合う。もっとブーツを合わせた着こなしを見たかったな。
 鳩羽のような灰色にくすんだ紫の半襟がおしゃれ。

 そして、南国を感じる渋紅色の紬姿の写真が一番気に入りました。やっぱり、のびやかな着物姿は眼福です。

(2021.11.15)

 

「あしたも着物日和」 徳間書店
近藤ようこ 著

  あしたも着物日和


山あり、谷あり、地獄あり…でも、やめられません。面白いから!初体験から20年。毎日が発見と冒険の日々…。着物の楽しさ満載の、痛快マンガ・エッセイ。

 着物との距離感が自分と似ていたので(七五三、成人式、卒業式に着物を着なかった)親近感を覚えて手にとりました。が、似てるのはそこまでで、読めば誂えの着物が多い方のようだったので、その点はあまり勉強にはなりませんでした。

 ただ、通りすがりの年配の方の着こなしを見ての「着ていれば、ある程度の着崩れはしようがない」との気づきにはほっとしました。
 あと、着物を長く着ると、新しく買うよりも手入れに力をいれることになる、とのこと。悉皆屋さんがどんなところか、どんな風に依頼するのか、を知ることができてありがたかったです。

 あ、あと綿着物ですね。
 私には誂え着物は夢のまた夢の夢くらいですが、会津木綿や川越唐桟(かわごえとうざん。=川唐)など綿着物の産地を知ることができました。いつか、のぞくくらいはしてみたいものです。

(2022.1.1)

 

「うきうきお出かけ着物術」 河出書房新社
近藤ようこ&お着楽倶楽部 著

  https://amzn.to/3Ly24en


着物を着て、街へ出よう!着物でお出かけのアドバイスがいっぱい。

 着物だけでなく小物や足袋、草履など周辺アイテムを楽しく紹介してくれていました。京都や浅草、川越の着物散策ガイドマップのようなつくりも親しみがわきます。京都と東京の人の好みの違い(はんなり推しときりっとした江戸情緒)みたいなエピソードもいいですね。

 かなり着物を着こんでいる人から初心者へのアドバイスが『まずは古着でもいいから練習して、次には浴衣でなく木綿やウールでサイズの合うものを選んで。正絹はそのあとでいい』。これには強くうなづきました。
 着て歩いて、ができて、贅沢はそれからの話ですよね。

(2022.2.21)

 

「おキモノ生活のすすめ」 エンターブレイン
ほしわにこ 著

  おキモノ生活のすすめ 幸せ100倍はじめませんか?


着物にハマって幸せ100倍。資格もないし、お金もない。ないないづくしでも楽しめる、愛と工夫の独学おキモノ生活。

 いきなり雑談になりますが(笑)。
 着付けの入門としては浴衣がよいのですが、どうも私の着物動機からすると秋〜冬の普段着着物から入る方がよかったようです。無類の寒がりなので裸足が前提の浴衣に抵抗が大きくて、それなりに着なれてきたにも関わらず外出はできないことに気づきました。
 そこで今、ブーツと合わせる着物を目指しているのですが、そこまでカジュアルな着物生活を語る本もまた少ないのですね。なかなか思うような情報が集められません。

 でも、気軽に着物を楽しむという視線の本なので、楽しい読書になりました。
 自分のお気に入りのモチーフを集める楽しみや、欲しいものがなければ作ってしまう(!)自由さ。そうそう、100年前には皆着物を着てたんだから、TPOをわきまえれば好きな着方を楽しんでいいのですよね。

 ほっとしたというか「やっぱり」と思ったのは、サイズの微調整。
 シンプルなつくりの着物だから、当然、人によっては袖の長さや身幅が合わないこともある。襦袢とのサイズが合わないことも。そんな時は、けっこうやっつけ(スミマセン)な補正もしていいのですね。

 襦袢の袖が長ければ、途中で(おそらく肘あたり)軽くつまんで縫っておいたり。
 襦袢の丈が短くて袖からこぼれてしまいそうなら、着物の振りをちょっと縫い留めて開かないようにしておいたり。
 袖が短ければ襟元を開いて半襟を広く見せる、なんて技もあるんですねえ。

 覚えておきたい情報は、写真うつりの良いポーズ!
 胸をそらせて肩を落とす。おなかを引っ込める。脇をしめて腕は縮めて袖に隠す。つま先に重心を。少し斜めになって、カメラ側の足を引く。。。だそうです。

 そして、文庫結びだけではなく、大人っぽい帯結びを開拓したいな。例えば「貝の口」「みやこ結び」というらしいです。
(2021.11.16)

 

1へ 読書記録 → 3へ
inserted by FC2 system