終章 真冬の光 目次

あとがき
 何の偶然か、数十年に一度の寒波が日本上空に来た年に、この寒い話を完結させることになりました。

 まず、サイトに上げはじめてから完結まで、長く長く時間がかかってしまったことをお詫びします。途中で休んだとはいえ……8年かい(涙)。
 そして、オンライン小説にしては宗教観が強く出て読みづらかったであろうこと。そして、それを書き切れるほどに筆力がなかったことも、です。

 いまも目指している『地に足のついたファンタジー』になったかなあ、と心配。
 書いている途中で、あまりの終わらなさに心折れそうになって創作検索サイトに登録したのですが、自分で書いた紹介文があまりに地味で(だって麦刈りと種芋ですから)、本当にファンタジーと信じてもらえるのかしら、と何度も首を傾げました。
 こういう小説がお嫌いな方は既に立ち去られていて、ここを読まれることはないと思うのですが(^^;)
 最後までおつきあい下さった方にはほんとうに感謝申し上げます。

           *       *       *       

 私がこの話で書きたかったのは、「信仰がごくあたりまえのものとして生きている社会」です。
 ……それほど大仰なことではないと思います。着替えながら歩きながら祈り、天に話しかけてから眠る。麦が実るように、と子が親に頼むように祈る。 無用に命を取ってはいけない。もしそうしたら、自分を恥じて二度とはしない――。
 呼吸をするように祈る社会では、人はそれを特別な名で呼んだりはしないでしょう。 だから、作中では「宗教」とか「信仰」という言葉は一度も使っていません。

 その一方で、祈るだけでは問題は片づかず、考えた末の決断に神さまは○×をつけてはくれない――どんな社会、宗教のもとでもセディムのような悩みはあるのでしょう。まったく、ハールが空の上から口出ししてくれればよかったのですが。

 セディムならどうするだろう、と私も悩みながら書きました。彼なりの結論もあれば、15の彼では答えが出ないだろう、とそのままにしたこともあります。
 結果として、どこか煮え切らない話の流れになって、お読みくださる方を退屈させてしまったなら、すみません。
 また、城臣やミーチェに『死を恐れない』と語らせることには躊躇もしました。決して、死を美化するつもりはないのですが、私の文が下手すぎて誤解されないかとびくびくしたり。
 でも、城臣たちのように、自分の生死よりも大切にする何かがあるのは、ある種、幸福なことだろうと思っています。(その社会・共同体にそんな考えが息づいていなければできないことでしょうが)

 はたして、私はそんな社会を描けたでしょうか?

 素人物書きですから、至らないことばかり。でも、セディムをはじめ、あれこれ迷い悩む人たちの姿に嘘がないように、と腐心したつもりです。
 もちろん、お腹はすくわ、寒いわ、若造は情けないわ、いろいろあるのですが(笑)

 できれば、この山間の村で暮らす幸せを感じて頂けたらうれしいです。
by にっけ (2018/2/17)

 

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